駅前花嫁/駕籠真太郎
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俺が中学生の時代。今から17年前とかそんくらいの頃、ネット環境もさほどなく、欲しい物も遠出しないと買えなかった。当時は仙台駅周辺のアニメイトやイービーンズが、俺や友人たちの憩いの場であり、わざわざバスと地下鉄、もしくは自転車でわざわざ向かっていた。今でこそ見違えるように綺麗になったアニメイトだが、俺が通っていた頃は1階の魚屋の臭いが2階まで来ていて、それ以外にも様々な悪臭が立ち込めていた。怪し気なAV屋、サバゲーの店、海外の良く分からない物を販売している店…等々、よく考えれば許可が出ているか怪しい店ばかりだった。

駕籠真太郎先生の作品に初めて出会ったのは、イービーンズの本屋だった。少年ジャンプを読まない俺は、早々に青年漫画の虜になっていた。より過激な漫画を探していた。そんな俺が店内をウロウロしていると物凄い表紙の漫画を発見した。これが『駅前花嫁』だった。

忘れもしない衝撃的な表紙に俺は心打たれた。ビニールで包まれていたその本の中身が気になり過ぎ、上から隙間を作ってみようとしたが、見れるわけもない。『駅前花嫁』というタイトルと表紙をどれだけ見ても何も分からない。なぜ駅前なのか?なぜ花嫁なのか?この表紙は何を表しているのか?ギャグなのか?ナンセンスなのか?続くのか続かないのか?とにかく気になった。しかし、その日の俺は既に金を使ってしまっていて買うことが出来なかった。家に帰っても散々想像したがダメだった。

日を改めて購入した。学校の友人たちにも「凄い漫画があった」と大騒ぎしていたが、あったというだけで見ていないので、それ以上の説明が出来なかった。なので購入した時は、本当に嬉しかった。読んで感動した。こんなにもヤバい漫画があったのかと…。

あまり内容を説明したくないので、大まかに言わせてもらうと凄く過激だ。初版が2000年なので、俺が買った時はまだ発売して間もなかったはずだ。エログロナンセンスが大量に詰まっているが、意外とナンセンスではなく、結構意味があったり比喩が隠れていたりする。ただ単にグロテスクだったり、趣味が悪かったりするだけではなく、美的センスやギャグ、残酷な物語に隠れている爆笑を探すのも楽しい。

そして、何度読んでも新しい面白さが隠れていたりする。『駅前花嫁』の中で全裸の女性を吊るし上げてオリンピックの表彰台のような場所に引き上げるコマがあるが、これは別の漫画『喜劇 駅前虐殺』に収録されている『駅前五輪』の内容をダブらせている。『駅前迷路』では、文章やキャラクターが迷路になり、『駅前格子』では台詞が全部四角くまとまっている。他にも傑作は多いが、それまた次回紹介する。

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