★ネタバレ注意★
別に自慢するわけでも何でもないが、俺は子供の頃から裕福で可愛がられて育ってきた。なんでこんなに腐ったゴミみたいな人間になるのか理解できないくらい環境も良かった。周囲の人間はみんな俺を甘やかしてくれたし、何でも買ってくれた。オモチャも数えきれないくらい買ってもらっていた。ガチャガチャの細かい人形、ぬいぐるみ、怪獣、シール、車のおもちゃ、カード、漫画、ゲーム等々。しかし、今実家には子供の頃のおもちゃはほとんどない。ゼロと言ってもいいかもしれない。
買ってもらった時は、怪獣の角が折れ、ぬいぐるみに黒い汚れが付き、形が変形するまで遊んだ。あってないようなストーリーを考えて、一人で時に友人を交えて、走り回って、投げて踏みつけて、遊びつくした。どこで買ったかは思い出せない。しかし、今はどこにもない。確かフリーマーケットで袋詰めにして売ったと思う。その人形やオモチャは捨てられたかもしれないし、違う誰かが今も遊んでくれているのかもしれない…。
トイ・ストーリーのシリーズで唯一見ていない3は、どちらかと言えば大人が楽しめる内容だった様に思う。男の子は17歳になり、大学へ通うことが決まった。オモチャで遊ぶこともなくなり、パソコンにかじりつき、大人になる階段を駆け上がっているところだ。そんな青年が、オモチャをどうするか悩む。施設の子供にあげるか、屋根裏に置くか、大学に持っていくか。最終的に、青年はオモチャを施設の子供に託す。ここが本当にグッとくる。最初は、ウッディだけを大学に持っていこうと思った青年だったが、彼はウッディと別れる決断をした。この瞬間、彼は大人になったような気がする。それを見送るオモチャたち、なんだかジーンとしてしまった。
俺の話を急にぶっこむが、俺にも大切なぬいぐるみがある。トイストーリーで言えばウッディのような相棒のような存在。ただのペンギンのぬいぐるみなのだが、このぬいぐるみとの付き合いは本当に長い。幼稚園の時、バザーで10円で売られていたペンギンのぬいぐるみ。俺は買ったその日から今年31歳になる今までずっと一緒にいる。実家にいた時、就職して福島で暮らした時、引っ越し先でも結婚した今でもペンギンのぬいぐるみは家にある。腕はほつれる度に直し、洗濯もし、それでも取れない汚れもあるが今もなお一緒にいる。多分この先もずっと一緒だし、死ぬ時はマジで棺桶に入れることになるかもしれない。