俺の中学時代は、サブカルとパンクで日々を生きていた。意味不明で狂った歌詞や曲調に俺の脳内麻薬は分泌されまくっていた。東北のド田舎の糞村に住んでいた俺は、狂い叫べるようなCDが欲しくてたまらなかった。しかし、バスと電車に乗って片道1時間かけて街に出掛けたとしても俺が探す物は見つからない。どうすれば手に入れられるのか?ネット通販しかなかった。ヤフオクやメルカリもなく、クレジットカードすら持っていない俺は直接サイトから購入するしかなかった。俺が最初に目を付けたのは「Alchemy Records」「いぬん堂」「円盤」の3つのサイト。それぞれ1万円近く支払ってCDを買いつくした。中学生で1万円なのでかなり無理した買い物だった。「いぬん堂」では、数秒のサンプルを聞くことが出来た。金がないので、慎重に何度も視聴して買うCDを選んでいた。そんな時に出会ったのが、太陽肛門スパパーンだった。「いぬん堂」で購入したのは、「ちんこ」と謎の漫画が描かれたアルバム「太陽肛門スパパーン」「哀愁GOOD-BYE」「テロリストブッシュと人間」の3枚。「馬と人間」はこの頃すでに廃盤。完全入手困難となっていた。そもそも名前自体がメジャーでない上に、自主制作品の為、購入のしようがなかった。
今の嫁がまだ東京に住んでいた時、俺は東北の糞田舎から嫁のいる東京へ行き1週間程家でゴロゴロしていた。嫁が住んでいた場所はバスに乗れば神奈川県のブックオフへ行く事が出来た。東北のブックオフに比べると、神奈川県のブックオフは品ぞろえが物凄かった。その中で見つけたレア盤が、「馬と人間」と山本精一の「なぞなぞ」だった。ますがに都会は違うなぁと感激した。「馬と人間」を手に入れた俺は有頂天で、何度も何度もこのアルバムを聞いた。
太陽肛門スパパーンは、多分JAZZバンドだ。JAZZとはいったが、あえて言うならばJAZZというだけで実際はジャンル不明。パンクなようで実験音楽なようで、時に合唱団のようなコーラスだったり、木魚のリズムで「南無妙法蓮華経」をノリノリで歌い上げたりとやりたい放題。音楽としては、暗黒大陸じゃがたら、Tacoが近い存在だ。CDを入れると「1.テーマ」が始まる。ゆったりとしたクラシック。眠気を誘うような音楽に心が休まる。「2.馬と人間」が流れる。オルガン?のリズムに合わせて沢山の人間が「馬は走る 人間は」と合唱する。「3、女子高生組曲」は、6つの楽曲を組み合わせている。青春!四谷商業高校、小田急ROCK、大人の人は、三多摩おフェラ隊、福祉のまちまちだ、のりこの顔でかいの6曲。タイトルだけで馬鹿馬鹿しいが、歌詞も曲調も恐ろしくくだらなく、驚くほど最低極まりない。飛び切り汚い下ネタ塗れのダンスミュージックはなぜか脳裏に焼き付いて、何度も聞きたくなる。「こんなにも肉や牛乳があったら、性欲がさかんにならないほうがおかしい」「私の指はふやけてしまう 本物早く試してみたい 夢のようなこよいあなたと 股はまだだいぶ痛いけど 明日の昼休み楽しみ ポチンポチンポらら ともことじゅんこに 楽勝で買った学院のちんぽ」「夜中の2時に手鏡で、小陰唇で観察」と凡そ正常とは思えない異常な歌詞をさも楽しげに演奏し、歌い上げている。一番オススメは、「10、青春!夢!仏教徒」。不謹慎な上に宗教の歌。だけど楽しくて癖になる。そんな1曲だ。12年ぶりに新アルバムが発売されたが、相変わらずの暴走っぷりに日本のタブーがガンガン出てくる。発禁間違いなしの内容を是非聞いて頂きたい。