購入したルークスの引落口座が誤っていたらしく、銀行の窓口で印鑑を確認してハガキと用紙を送りなおす。数ある印鑑の中から何となく、勘で押したのが完全な間違いだったらしい。
心療内科で薬を貰ってもすぐに改善するわけじゃない。調子は相変わらず良くない。仲良くなった札幌の作業員T君が、今日現場の仕事を終えて北海道へ帰る。しかし、俺は現場へ行けない。なので、わざわざ会いに来るという。メンタルがイカレていて、人に会うのを極力避けていた俺だったが、最後になるかもしれないので会うことにした。
近くのホルモン屋で待ち合わせをすると、すでに札幌ナンバーの車が停まっていた。真剣な面持ちで俺と嫁のためにお菓子の詰め合わせ、コーヒーゼリー、胃薬を持ってるだけ全部置いてってくれた。本当に優しい。最後まで気を遣う子だった。嫁と3人で酒は飲まなかったが、お腹が痛くなるくらい笑った。もっと早く出会えてたら良かったなんてことを何度も話した。T君とは3ヶ月しか一緒にいなかったし、実際に喋ったり過ごした時間はもっと少ないが忘れられない記憶になった。最後は自宅に呼んで、話をした。車で別れを惜しんだ。きっと札幌に行くと約束した。今度は漫才かコントでもしたいな。