【ストーリー】
サーカス団で育った少年フェニックスは、目の前で両親の惨劇を目の当たりにして精神病院へ。やがて成長し、退院したフェニックスは、狂気の母の意のままに、自分に近づく女たちを殺害するようになるが…。
カルト映画の元祖アレハンドロ・ホドロフスキー監督による1989年度作品。監督自身「初めて観客のために見せるために製作した」と映画5本も撮っておいて、ようやく観客に見せる映画を撮ったわけだ。確かに過去の「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」に比べると内容も易しい(あくまで他の作品に比べての話だが)。
サーカス団で育った超絶美少年フェニックスが、目の前で無残に死ぬ両親がトラウマになり、精神崩壊してしまうところから始まる。ママがサーカスで活躍中に、催眠術使いの酒飲みパパが刺青女とイチャイチャしているのを発見し、怒り狂ったママはフェニックスを車に閉じ込めて復讐しに行く。刺青女とパパが性交中の場所へ忍び込み、薬品をぶっかける。激怒したパパは、ママの両腕を切断!!ママは笑いながら腕を捥がれ血がぶしゅうううううう!!!!!というエログロ全快の物語だ。
フリークスや残虐な映像が次々と流れる。沢山のフリークス、異様に太った女性、ムキムキの女性プロレスラー(さすがメキシコ)、ドラッグを吸わせる男、精神病院の医師達という怪しげな登場人物が入り乱れる感じはホドロフスキー監督作品ならでは。寺山修司がホドロフスキー監督の影響を受けているのは間違いない。病的な登場人物やサイケデリックなメイク、奇抜なファッション、ありそうでないストーリー、視聴者を混乱させるナンセンスな演出は寺山修司の作品を彷彿とさせる。寺山は「エル・トポ」を大絶賛していたが、資金がもっと沢山あれば寺山もホドロフスキー監督みたいにバンバン爆発させたり動物の死体をばら撒いたりできたに違いない。ただ、amazonレビューで誰かが言っていたけどモザイクが雰囲気壊すなー。超カッコ悪くなるから、せめてモザイクじゃなくて霧みたいなぼかしに代えてほしい。