クーデタークラブ/松本光司

思春期ど真ん中の俺にとってクーデタークラブは衝撃的な内容だった。松本光司先生と言えば「彼岸島」らしいが俺は読んでいない。なので面白いかどうか不明だが、クーデタークラブの方が面白いはず。女装趣味のどこにでもいる普通(女装する高校生はまぁ普通…んー)の高校生である主人公が、とある双子の女子高生に連れられて、赤軍や学生運動の真似事をしている革命部に入り、そこでユウジという物凄い男に出会い…ってな感じで物語は始まる。普段は頼りない主人公だが、女装をすると自信がつき、戦うと想像を超える力を発揮して頭も超キレる。学校では影が薄く、勉強は出来るがそれだけで、いつもボンヤリと日々を過ごしている。しかし、女装をすると全くの別人格に変身‼手に汗握る緻密な戦いは見どころ満載。敵から逃れ、迫りくる敵を倒し、追いかける‼最後まで見逃せない展開が素晴らしい作品だ。

山本英夫先生の「おカマ白書」の主人公もキャサリン(女装した主人公)に変身することで男性視点とは異なる感情や思考が現れる。主人公が大学で恋い焦がれる女性が、キャサリンに対しては対女性という扱いで限りなく距離が近くなる。主人公は男性として告白をしたいが、キャサリンとしての距離を捨て切れられず、嫌われたくないので自分の正体も明かせない。幾度となくキャサリンを止めようとするが止めれないといった状態になってしまう。

笑ゥせぇるすまんでは「化けた男」という話がある。これは女装ではない。普段は真面目に働き、普通の家庭を持ち、普通の生活をしているサラリーマンが、チンピラに変装して夜の街で酒を浴びるほど飲んで水商売の店で女に溺れる。チンピラに変装した男は、普段は言わないような暴言を吐いたり、普段の自分のようなサラリーマンを驚かしたりする。

退屈な日常にうんざりしてくると刺激が欲しくなることがある。買い物や美味しい物をたらふく食べても満足できない時、人はもう一人の自分が欲しくなる。もう一人の自分は、自分には無い物を全て持っていて、何をしても全く問題ない。それは日常の自分ではないからだ。しかし、自分ではない自分にのめり込み過ぎると、帰り道を忘れてしまいかねない。