俺の常勤している現場の前は、交通量がとにかく異常で、四方向から車がガンガンスピードを出して飛び交い、自転車や歩行者が乱立している。重機にダンプ、トラック、軽トラ…ありとあらゆる会社の車が1日中走っている。
その道路を見つめること1年と2ヶ月。約230日、1日6時間立ったとしても1380時間この道路を見ていたことになる。そのくらい途方もない時間、同じ場所で過ごしていると様々な出会いがある。パラ車(パラセメント)の運転手の何人かは、誘導して半年以上経過しているが、未だに俺を見かけると手を振ってくれる。他にも高所作業車や燃料屋の人達も笑顔で手を振って来る。ほとんど顔ぶれは変わらないが、悪い気はしない。
すれ違う運転手達に手を振っていると、『魔女の宅急便』のエンドロールを思い出す。キキがパン屋のカウンターから外を眺めていると、道行く人たちが笑顔で手を振って過ぎ去っていく。あそこまでの人数はいないし、あそこまで爽やかな顔ぶれではないが、例えるならあんな感じ。