天より下にありし者 交通誘導員 504日目 俺はフワちゃんみたいらしい
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はじめて会う人がやって来る。Kさんが多すぎるので、彼は金ちゃんと呼ぶことにする。初めてなのでカマしてやろうと思い、挨拶をしながら胸元あたりに突っ込んでみた。当然ながら面食らっていた。見た目は俺の中学時代にそっくりでビックリ。車中泊をするらしく、助手席を倒しベッドが置いてあり、運転席の後ろにはメタルラックがあり、色々な道具が置いてある。アウトドアや小物関係が好きで、非常に興味深い。ガンガン質問攻めして朝礼が始まる頃にはすっかり仲良くなれた。その時間わずか5分。5分もあれば十分よ。

札幌の作業員のオジサンと話をする。喋り方がゆっくりでトーンも凄く優しい。「もう一人一緒に来ている人とあのガードマンさんどこに行ったのかなぁ~って話をしてたんだよ」と言ってくれる。何か覚えられてるのって嬉しいよねぇ。

金ちゃんも俺に興味が深々なようで薪ストーブや風呂のない生活について語り合った。女装した動画を見せたら「トランスジェンダーの方ですか?」と驚かれた。あまりにも俺の生を覚えてくれないのでお姉さんと呼ばせることにした。実際、初めて俺を見た時も「お姉さんがいる」と思ったらしい。

俺だけがいかれているように思われるかもしれないが、金ちゃんもなかなか変わっていて、車に乗せていたぬいぐるみに興味があり、

金ちゃん「自分も好きなんです。ディズニーに出てくる犬で……耳が黒くて」
俺「ああプルート」
金ちゃん「ええっとグーフィー?」
俺「それって二足歩行の方じゃん?」

と自分の好きなキャラクターすら覚えていない。文鳥のぬいぐるみもリサイクルショップで買ったと見せるとMさんが「おもちゃ屋で買ったんですか?」と言い、すかさずKさんが「リサイクルショップって言ったじゃん」と小さく突っ込んだ。この日の片交は関係のない話で異常に盛り上がった。そういえばヘビースモーカーのKさんが禁煙していて驚いた。しかも1ヶ月。車内のKさんは99%タバコを咥えていたのに……。

帰り際に金ちゃんが俺を「なんか警備員らしくない感じですよね。みんなで楽しく一緒に頑張ろうって感じが警備員にいないタイプで、なんかフワちゃんみたいです」と褒められたのかバカにされたのか分からないことを言われた。まあ褒められたと仮定しましょう。それにしても手袋がなくて辛かったわ(-_-;)

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