とある町内の図書館で「本を差し上げますので貰いに来ませんか」という情報をチラシで見て車を飛ばしてきた。土日2日間の午前、午後に行われた小さな行事は、駐車場も狭く、こんな場所で本当にやるのかと疑った。しかし、駐車場は満車。あんまり期待はしていなかったが、意外な反響と、意外な本との出会いに驚いた。上の写真が俺がゲットしてきた本だが、浅野いにお、つげ忠男がどうして小さな図書館に置かれているのか不思議でならなかった。しかも、○○図書館のようなハンコやシールのようなものも貼られていないのでほとんどが新品状態だった。「強迫性障害」「成り行き」の2冊は、昨年の今頃発売。そんな良本がずらりと並んでいた。1人10冊までだったが、午後に来ても、明日来ても貰えそうな雰囲気だった。さすがに、いい大人が独り占めするのは気が引けるので、これ以上は持っていかず帰った。
中二病+サブカルチャー+ヴィレッジヴァンガード=浅野いにお。そう解釈している俺。初短編集って書いてあるけど「素晴らしい世界」は、短編じゃなかったのか?個人的に「素晴らしい世界」の方が内容的にもすごい好き。「熊の被り物を被ったヤクザ」の話と、カラスの声が聞こえる女の子が自転車のチキンレースするような話が面白かった。ちなみに「ソラニン」は好きじゃない。とても苦手。宮崎あおいも好きくない。サブカル女子みたいな扱いを受けててイラっとする。「おやすみプンプン」もかなり傑作だった。プンプンの名字が俺と同じ小野寺で、中学時代にバドミントンやるのもおんなじなんだよね。人は殺してないけどwあとは、蟹江ちゃんがクソッタレってこと以外はよく覚えていない。あと「おやすみプンプン」を読んでるとなぜか「ヒミズ」を読みたくなる。なぜだろ。
「世界の終わりと夜明け前」は、童貞男子中学生の脳味噌って感じの物語が大半だった。面白いんだけど29歳の心には、さほど響かなかったな。中2だったら拍手喝采だった。〈休日の過ごし方〉って話で、主人公の女の子が、フライングでゴミ出そうとして「ひゃっ!!大家さんだっ!!」ってなるコマがあったんだけど、つげ義春の「外のふくらみ」を思い出す。一つ目小僧が追いかけてくるシーンに非常に酷似しているからだと思う。これに出てくるタコ焼き屋が優しいwあとは、父親、長男、次女のそれぞれの視点で描かれた〈日曜、午後、六時半〉が面白かった。別巻で良いから長女の話も載せて欲しいと思ったwそして、読み終えた後に無性に山本直樹の「ありがとう」が読みたくなった。あれは傑作だった。〈素晴らしい世界〉のタエちゃんって、カラスとしゃべる自転車こいでたあの娘か?「素晴らしい世界」を読み直さなきゃ何とも言えない。タエちゃん大きくなったなぁ。
ある日、旦那さんが鬱になった。漫画家の奥さんが、鬱になった旦那さんとの暮らしを描く「その後のツレがうつになりまして。」の第2弾。もちろん、第1弾は読んでない。俺の友人も鬱病になって薬飲んでいたヤツがいたが、鬱病の薬は飲まない方が良いと言っていた。俺も一時期、社内全員から精神的袋叩きに遭い、心療内科に行った。薬は貰わなかったが、今思い出しても吐きそうだ。鬱は、鬱の時と躁の時の温度差が激しいから、サボってるとか思われがちだが、当事者は辛い。俺は会社辞めてよかったと今でも思ってる。あのままじゃ発狂してたわ…。ってこれも宮崎あおい出てくるのかよ!!
巷の噂によれば来年の春に実写化するらしい。監督は瀬々敬久氏、俳優は佐野史郎氏、柄本明氏。兄のつげ義春氏の作品は、結構実写化されているが、つげ忠男氏の作品は初なんじゃないかと思う。「ねじ式」「無能の人」「蒸発旅日記」の実写は非常に有名で、どれも傑作揃い。「蒸発旅日記」は、好きすぎてタイトルに入れたほどだ。つげ義春ワールドという短編作品もビデオ化されており、YOUTUBEでもいくつか見れる。DVD化されていないのが残念だが、いつかBOXか何かで販売して欲しい。
「成り行き」の映画に出演する佐野史郎氏は、短編の「紅い花」「李さん一家」にも出演しているので「成り行き」に主演するのも頷ける。〈夜桜修羅〉では、つげ忠男氏が社会に対しての想いが描かれているような気がする。絵のタッチはガロなのに内容が今風なので面白い。スマホも出てくる。オレオレ詐欺、AKB、いじめ、薬物などなど社会風刺の作品だった。つげ忠男氏本人が、気に入っていると評価する「懐かしのメロディ」が旧作とリメイク版の2パターンで収録されている。個人的に背景は旧作が好きで、人物画はリメイク版が好き。ポテトはマクドナルドで、ハンバーガーはモスバーガーが良いというのに近い。「ソラニン」「ツレがうつになりまして。」は、宮崎あおいが出演しているが、「成り行き」には出ていない。どうして最後にこんなにふざけるのか俺自身わからない。まぁ、成り行きですね。