「わたし」が「トモダチ」を探す物語。精神疾患者の主人公が、トモダチを探しに奇行や奇声を発しながら幻想や幻聴に塗れる。夢なのか幻なのか?異様な主人公は、町へ繰り出すが、本当に繰り出しているのか?実はずっとベッドの上だったり。ゲームの「LSD」のような非現実的でありながら昔何処かで見たような、経験したような、夢で見たような世界が広がる。主人公は老若男女問わず友達を作ろうと必死に奔走するがなかなか上手くいかない。というより本当に存在しているのか分からない人間たちは、彼女が見えていなかったり、相手にしなかったりする。全裸で街を走り回ったり、子供たちの遊びに混ざったり、同窓会に無理をして参加してみるがどうにも失敗し相手にもされない。果たして「わたし」は「トモダチ」を見つけられるのか?彼女はどうなってしまうのか…。
狂気の漫画家しりあがり寿先生の狂気の怪作「ア〇ス」。しりあがり寿先生の漫画は、一見して棒人間や子供の落書きの絵のように思える。しかし、哲学的で過激でぶっ飛んだ作品はサブカル好きの読者を魅了してやまない。しかも、実は物凄く絵も上手いw「ア〇ス」は精神疾患の女性が描かれているが、読むのが辛くなるほど生々しく描写もリアルである。ブラックユーモアのような場面も何度かあるが、とても笑えない。こちらの精神まで削られてしまいそうな作品だ。結構後味が良くないので注意。あとがきに精神科医の解説付き。