75-83/signal

音楽

就職氷河期に古本屋に初就職して、正社員として働いていた頃、CDの買い取り業務をやっていると常連のお客さんと仲良くなった。そのおじさんは無類の音楽好きで、レコードもCDも死ぬほど持っていた。おじさんは、交通事故で腕が悪く、それを理由に定職に就かず、所持しているCDを売って小銭稼ぎをしていた。ある時、家に誘われたので行ってみると色々なコレクションが並んでいた。要らなくなったレコードは、店に行っても買い取れないということで、俺が代わりに買い取った。その中で特にお勧めで、俺自身も大絶賛したのが、シグナルだった。

シグナルは、1975年デビュー。もちろん俺は生まれていない。デビュー曲の「20歳のめぐり逢い」は、かなりの名曲で死ぬほど売れたらしい。その後はあまり活躍もなく、アリスの活動停止後、ソロ活動を行ってきた堀内孝雄と“ケインズ”っていう…まぁバックコーラスみたいになっちゃったらしい。アリスなんかより百倍カッコいいと思うけどなぁ。

俺がおじさんから借りたのは、「LAST FILE~シグナル全曲集~」のCDアルバムで、多分市場じゃなかなか出回ってないと思う。黒いジャケットにバンド名のロゴがカッコいい。一通り有名どころの神曲が並んでいるが、やっぱり一番好きなのは「蒼い影」、これを聞いた時は、本当に感動した。「黄昏のあらし」「 B.G.Mはため息で 」「 夏のV.T.R. 」などの名曲も入っているので、シグナルを知るなら全曲集が一番良い。逆にこれさえ聞いていれば、ほぼほぼシグナルは聞いたと言える。

その後、おじさんとは東日本大震災のなんやかんやで疎遠になり、連絡先もわからずに別れた。もしかしたら年齢だし死んだかもしれない。何かと「この腕さえよければなぁ」とケガした腕を言い訳にするのが、個人的には面白かった。ボトルキープした酒を飲み干したのは、今でも謝りたいと思っている。おじさんと別れた後もシグナルが聞きたくなり、あちこち探しまわったが、全曲集が見つからず、諦めて買ったのが「75-83」。嘘みたいに薄いシングルの厚みのCDケースに、これまた薄いジャケットに度肝を抜かれたが、収録されている曲はまぁまぁ良い。ただ、「黄昏のあらし」が収録されていないのは解せない。

コメント