天より下にありし者 交通誘導員 132日目 俺式六〇分のアリバイ工作
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汚くなった旗は交換してもらえる。棒の部分は再利用できるので、旗の部分だけ貰う。俺はこういうのが全く出来ないので31にもなって嫁か母親にやってもらう。何の思いれもない汚れた旗は生ゴミと一緒で思い切りゴミ袋に放り込んでやる。半年以上使った旗だが丈夫で破れたり穴が開いたりはしない。そして肌触りが違う。緑の旗はザラザラしていて、赤の旗はツルツルしている。これは全国全旗共通なんだろうか。どうでもいい話だが俺はツルツルが好き。

毎日同じ現場だと流石に飽きがやって来る。とは言ってもそんなのはワガママだ。警備員の仕事は、指示された場所へ行って警備して帰るだけだ。俺たちの行きたい行きたくないというワガママで好き勝手にできるもんじゃない。段々慣れてくると楽することばかりを考え始める。特に警備員は、脳が一時停止した状態で仕事しているので、余計な事を朝から晩まで考えている事が多い。

俺は130日以上警備員として働いているが、内100日は同じ現場で立っている。毎日同じような場所で同じような誘導を延々繰り返している。俺がよく誘導しているのは、パラ車(パラ=パラセメント)という車だ。パラセメントって言うのは粉末状のセメントみたいなものらしい。俺も知恵袋見てたった今知った。セメントってメッチャ重いから運ぶの大変じゃん?そうらしいよ。

そのパラ車って車が1日に数回、土砂を運ぶ通常のダンプが1台(夕方までフル稼働)で出入りするんだけど、その現場の人から言わせるとパラ車の時だけは絶対いて欲しいって事らしい。だから通常のダンプは誘導するべきだけど、最悪いなくてもいいってこと。パラ車は大体1日に1~4回、日によっては多かったり少なかったりする。時間も8時、11時、13時。9時半、15時。とか色々だ。時間の変更や急に何の連絡もなくパラ車がやってきたりするので、なかなか油断が出来ない。そんな感じなのでお昼がずれ込んだり、休憩がずれ込んだりするのもざらだ。それを説明するのが面倒なので、基本的に数人で立つ場合は、この場所に俺が立つようにしている。

9時、10時、13時の日。俺は今までいつかやろうと思っていたことを実行した。それは10時のパラ車を入れて出す。10時20分の時点で10時休憩に30分入り、そのまま13時ちょっと前まで戻ってこない。これをやってみた。つまり10時30分から12時45分までの2時間15分休憩。これはすげえええええ。超休めるぜ。しかし、チキンの俺はビビりまくってゆっくり休憩できず、数日試して辞めた。今はもう真面目に働いている。

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