赤色エレジー/林静一
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全てのコマがシュールでナンセンス。とても繊細な絵が美しい。どのコマもTシャツにしたい、額縁に入れて飾りたい、じっと眺めていたい。そんな美しい絵が並ぶ『赤色エレジー』は、1970年1月から1971年1月までガロで掲載されていた。49年前の作品か…半世紀経っても色褪せない青春の漫画は、今のクソみたいな世界では考えられないくらい味わい深い。

貧乏なアパートで金もなく、どうしたらいいか試行錯誤しながら送る20歳の男。子供じゃないけど大人と言う程世の中を知らない。だけど生きなきゃいけない。夢を追い続けなきゃいけない。タバコをふかして、先の見えない未来を必死に描きながらペンを執る。

それにしても彼女可愛いなぁ…。林静一先生は、あの有名なお菓子『小梅ちゃん』『萩の月』の絵を描いている事でもお馴染みだ。女性美の表現について「現代の竹久夢二」と評されているだけあり、繊細で江戸の日本画のように芸術的で美しい。

作品としては、駕籠真太郎、つげ義春系統の典型的なガロ作品となっている。寺山修司の『田園に死す』、ダリの『アンダルシアの犬』、 デヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』のようなシュールレアリスムを感じさせる異様な違和感、何を伝えたいかを考えるのも面白い。エログロナンセンス、差別表現、宗教、戦争、虐待、青春、リビドー…これを読んだ時、読者によって価値観が全く異なると思う。カバーもオシャレ。ちなみに金なくて売り飛ばしていたので、今回買ったのは3回目。

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