天より下にありし者 交通誘導員 7日目 雨ならどうなる警備員

31日は雨が降っていた。俺の家は濃霧に囲まれ、嫁と今日は休みじゃないかと話していた。自分のイメージだと完全に休み。工事業者は雨の日は休みと勝手に思っていた。とりあえず行ってみて、なければ速攻で帰ろう。そう思って向かってみる。霧は晴れてきたが、雨脚は強くなり、前が見えなくなってきた。これはない。100%ない。

しかし、あった。全員当然のように来ている。いつでも帰る気でいた俺は、気持ちの切り替えが出来なかった。ラジオ体操がなく、プレハブの2階で朝礼がある。あまりにも想定外だったので、朝礼で自分の会社名を呼ばれた時も、返事するのに間が開いてしまった。学園物のアニメやエロゲの主人公並みの『あ、やべぇ聞いてなかった』的な感じだった。

その後は何事もなく、昨日と引き続き同じ場所で作業を行った。雨なので、初めてのカッパ装備。旗を棒に変えて誘導開始。工事車両、生コン車、乗用車を少し誘導しただけで、ほとんどは立ちっぱなし。あまりに暇なので目の前を通る車の数を数えていたが、意外と少なくて驚いた。

俺は、学生時代から真剣な表情をするのが得意だった。授業中に真剣な顔だけしていれば『あいつは何か考えているようだ』と思われる。実際は何も考えていないおバカさんなのだが…。まだ数日しか働いていないが、俺は以下のような人が警備員に向いているような気がする。

1、挙動不審
2、真面目な顔が出来る
3、不愛想
4、無口
5、目つきが悪い

およそ接客業に向かない人の方が向いているような気がした。警備員の仕事は、ほとんど孤独との戦いなので、無表情無口の方が、仕事ができるような気がする。俺が所属している警備会社の警備員さん達は、メチャクチャ喋りたがりが多いような気がするので、実際は合っていないのかもしれない。俺もどちらかと言えば喋る方だが、下手すりゃ死ぬ仕事だし、気が緩むと仕事モードになかなか戻れない。それに友だちを作りに来たわけでもない。聞かれたら返答するだけで十分だ。