地獄の日々を送る聖女『小公女セーラ』を鑑賞し、精神を病みながらも見終えた全46話の感想
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俺はこう見えても根っからのハッピーエンド好きで、バッドエンドはかなり苦手だ。特に何も悪い事をしていない美少女が酷い目に遭う姿を見ると精神的苦痛を受ける。なので正義が打ち勝ち、悪が滅びる典型的な定番ストーリーが意外と好きだったりする。もしくは、最後に大逆転して復讐、もしくは悪い奴等がボロボロで惨めな思いをするグリム童話みたいな展開が良い。グリム童話は、意地悪した奴等を拷問にかけたり、半殺しにすることが多いのだ。

『小公女セーラ』は、嫁が俺に勧めてきた作品で、俺自身が見ようと思ったわけではない。最初の2、3話は普通に見れていたが、過激な児童虐待と視聴者の精神を著しく痛めつけるイジメや罵詈雑言、理不尽な言いつけや暴力、モラルハラスメント等が続き、一時は見るのをためらっていた。『ホワイトアルバム2』の雪菜を彷彿とさせる残虐性が物語全体にはびこっており、それでも静かに耐え続けるセーラに共感しつつも、過去のブラック企業の体験と重なり、異常なほどストレスを感じた。

あらすじを簡単に説明するとインドの富豪の娘であるセーラが、女学院にやって来る。セーラの父親は、インドでダイヤモンド鉱山の採掘をしていて女学院の院長は、セーラをムチャクチャにひいきする。しかし、父親の採掘が失敗に終わり、父親自身も熱病で死んでしまう。セーラは、学院の生徒から一気にメイドまでランクダウン。一転して奴隷のような日々を送る…と言う話だ。

一見、このようなタイプの物語は、何も知らない少女が、色々な経験を重ねる事で大人になっていく…と言う展開が多い。しかし、セーラは父親の躾が良く、入学当初から大人としてのマナーや考え方が成熟している。なので、セーラの成長物語…といった感じでもない。ちなみに俺のオススメ回は『31話 屋根裏にきた怪物』。飛び回るサルに普段は冷静なセーラがキャーキャー言いながら動き回るのが超絶可愛い。あとは『35話 消えそうないのち』で熱にうなされるセーラが若干エロい。

落ちぶれたセーラには、メイドのベッキーや街で懸命に働くピーターといった有能で賢く優しい仲間がいる。ベッキーとピーターは、最初から最後まで出てくるが、一番最初にセーラに救ってもらったことを恩として忘れることなく、セーラを支持し助ける。いつでもセーラを励まし、自分が身代わりに叱責されても負けない。こういう精神は、常に持っていなきゃいけないな…。ちなみにベッキーの声は、まる子の母親、クレヨンしんちゃんのマサオ君の声をしている鈴木みえ(現・一龍斎貞友)。後半で出てくるカーマイケルという弁護士は、まる子の父親ヒロシの声(屋良有作)。この2人はまる子で散々聞いていたので調べなくっても分かった。

この世界は、学園が敵だらけで、外は意外と仲間が多い。俺が賃貸の営業をしていた時代も社内では孤立して酷い目に遭わされていたけど、オーナーさんや入居者さん、業者とは仲が凄い良かった。そういう記憶も想いだすから見ていて辛かった。

とにかく学園の大人たちは全員クソで、情緒不安的な暴力院長、何も出来ない口ばっかりの院長の妹、仕事をしないデブとババアが毎日ぶちぎれ、同級生だった性格の悪いクソ女(ラビニア)は、下女としてセーラを虐めぬく。奴らは、毎日怒鳴りつけて時には理不尽な事で叩いたりする。やっていないのに立場だけでやったと罪を押し付けられ、とても子供じゃ出来ないような力仕事をやらされたりもする。休みは貰えず、元同級生の靴磨きもさせられる。朝早くから夜遅くまで過酷な労働を強いられ、ちょっと失敗すれば食事抜き。人間扱いもされず、毎日毎日酷い目に遭わされる。

このラビニアというクソ女がまた最悪で、自分のやらかしたことを全てセーラのせいにする。自分の誕生日にセーラが大事にしていた人形が欲しいと言い出し、それを奪おうとする。しかし、それは流石に周囲がドン引きし、お流れになった。院長とラビニアに関しては、何度アニメの中で死ねと思ったかわからない。やはり理不尽な事を言ってくる奴等は頭に来る。最終的には全員が許される感じになるんだけど、あれだけイジメ抜いていた糞どもがおとがめなしで、謝罪もないと言うのも何か納得出来ないっちゃあ出来ない。アニメだから寛容になっているんだろうけど、それ相応の罰は必要だったと思う。まぁ、それを全て許してしまうのがセーラの凄さなんだが…。

ゲオでは、90分の完全版しかなくてレンタルできない。DVD-BOXを買うか、amazonのアニメストアで見るしかない。ちなみにYOUTUBEでも見れる。

オープニングもエンディングも良くて、特にエンディングの『ひまわり』は神曲。なかにし礼が作詞、作曲は森田公一とトップギャランの森田公一。セーラを見る少し前に 森田公一とトップギャランの 『青春時代』を聞いていたので何だか運命的なものを感じる。昔の森田公一が、お笑い芸人『さらば青春の光』の森田に少し似てる。同じ森田だけど関係ないよな…。

ストレスが溜まり、見るのも嫌になるアニメだが、最後の圧倒的勝利は感動する。これぞ言う事なしの100%聖女様ゴール。耐えて見続けたかいがあったとしみじみ感じる。どんな状況でも負けず、腐らず諦めず、自暴自棄にもならずに懸命に生きようとするセーラに胸を打たれ、31歳自営業警備員の俺も真面目に生きようと今までの人生を振り返るのであった。

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