【ストーリー】
黒装束の流浪のガンマン、エル・トポは、幼い息子を連れ砂漠を行く。行き着いた村は、山賊の襲撃による大虐殺の後で、あたり一面、血の海だった。エル・トポは、修道院に陣取る大佐らを倒すが、大佐の女に心奪われ、息子を残し、最強のガンマンを目指し、砂漠にいる4人の銃のマスターに対決を挑むが・・・フリークス達の暮らす洞窟で長い眠りから目覚めた彼は、彼らを虐げられた境遇から救うべく再び現世と向き合うが、そこは彼の想像を超えた腐敗と混乱の世界だった。
ジョン・レノンや寺山修司が絶賛し、カルト映画の金字塔として評価されるようになった超残虐シュール作品「EL TOPO」である。キング・オブ・ポップがマイケルジャクソンなら、キング・オブ・カルトムービーはエル・トポ。エログロナンセンスな映画を探していたら何度も聞く名前なのでTSUTAYAでレンタルしたのが去年だか昨年の話。青空の下、黒いシルクハットを被り黒い傘をさした男、後ろには全裸の少年がぴったりとくっ付き、黒い馬に乗って砂漠を歩く、その手前には女性の写真が砂に埋まっている。いかにも何かとんでもないことが起きそうな予感をビンビンに感じさせるジャケットに興味がより沸く。
物語の道筋はしっかりとあるが、過激なグロテスク映像が多い。前作の「Fando y Lis」は白黒だったが、本作はフルカラーとなっている。映画に出てくる動物の死体、身体障害者も全て本物なので、色が付くとよりリアリティが倍増する。
美しい砂漠世界の中で、横たわる人間の死体や、次々に現れる謎の刺客、大量のウサギの死骸(´;ω;`)、男色家、奴隷、障害者、美女、インチキ僧侶が入り乱れる。なぜこんな意味不明な残酷な映画を見て感動するのか自分でも不思議でしょうがない。なぜか何度も見たくなる魅力はなぜなのか?謎ばかりが錯綜する。
DVD-BOXには、「EL TOPO」のサウンドトラックが特典ディスクで付いている。誰がこんなマニアックなサントラ聞くんだよと笑ったが、いざ聞いてみると不思議と悪くないw本編がグロすぎるので、そんなイメージしかなかったが、音楽だけだと意外と剽軽で楽し気なBGMが多い。例えるならスーファミのRPGっぽい感じ?
障害者を笑いながら殺したり、黒人の奴隷にいちゃもんをつけて殺したり、奴隷達を殺し合わせたり、観客を不快にさせる演出が多い。2時間の超大作なので苦手な人には地獄かも知れないw好き嫌いがかなり分かれる作品にはなるが、少なくとも俺は映画に対する価値観が良くも悪くも変わった。