言わずと知れた宮沢賢治の有名作品。金持ちのボンボン2人が紙くずみたいな顔になる痛快なお話だ。自然や動物を心から愛する賢治からすると、この物語に出てくる2人の若い紳士は自分の事しか考えないワガママな人間を表している。連れている犬が泡を吹いて倒れても、いくら損したという話しかしない。お話の内容としては、動物を大事にしないから紳士たちが痛い目をみた的な話だが何だか違う気もしないでもない。
山猫軒の親方(山猫)は、別に「動物を金銭でしか考えないような人間は懲らしめてやれ!!」という正義の気持ちではいない。動物大好きな心優しい貧乏人2組だとしても、山猫は同じような事をしたはずだ。つまり、山猫サイドとしては単純に腹が減っていて人間を食べたかっただけとなる。なので、どちらかといえば植物連鎖、弱肉強食がテーマになっている。人間は環境を破壊して、動物を殺し、感謝もせずに貪り食っている。植物や動物などに対する感謝の気持ちが無いと、いつか しっぺ返しを食らうぞ!!という事が言いたいのではないだろうか。人間たちは、山猫軒を「注文の多い料理店」と言う。しかし、自然や動物に対しての注文が最も多いのは我々人間なのだ。