映画鑑賞66 生きる
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自分が一番最初に見た映画が何か思い出せない。今まで生きてきて結構な数の映画を見てきた。邦画、洋画、アニメ…。ホラーやアクション、SF、サイレント、ラブロマンス、シュール…。どの映画もそれなりに感動したし笑ったし面白かった。一番良い映画と順位付けするのはとても難しい。ほのぼのしたアニメと残酷な殺人映画で順位は付けられない。

このブログでは、観た映画をその都度記事にしている。とくにジャンルや年代で区別することもなく観た順番に記事を書いている。今回が約66回目になるわけだが、映画を鑑賞し終わった後に、正直もう最後でいいんじゃないかと思わせるくらい衝撃を受けてしまった。

「生きる」を借りようと言い出したのは嫁だった。普段は邦画どころか映画自体あまり興味のない嫁だが、これを借りようと言い出したのには訳がある。数か月前、悪魔のゲームWHITE ALBUM2の完全決着により雪菜ロス(WHITE ALBUM2 小木曽雪菜)となった俺は、廃人のように腐りきって布団を被り苦しんでいた。そんな俺を励まそうと嫁が検索した爆笑動画が『アニメ星のカービィ』だった。カービィのアニメは死ぬほど大量にあり、俺と嫁は1話から順に最終話まで見たのであった。雪菜ロスから解消された俺は元気を取り戻し、素晴らしい日常に戻れた。

そんなカービィのアニメには傑作が多いのだが、今回「生きる」を借りるきっかけは『第42話 メーベルの大予言! 後編』が元になっていた。この回では、デデデ大王が見た悪夢をきっかけに、プププランドが最大の危機に見舞われる…という内容となっている。プププランドが滅亡する直前、村の人々は互いの罪を告白し合う。

エスカルゴン「最後は誰もが罪を懺悔し、心を清らかにしたいでゲス」
デデデ大王「1つも悪いことをしてないから、懺悔することがないゾイ」

しかし、デデデ大王は今まで何度もカービィや村の人達を酷い目に遭わせてきた。それを指摘され、デデデ大王は「あれは悪い事だったのかゾイ?」と逆にびっくりΣ(・ω・ノ)ノ!本人的にはいつも良い事をしていたつもりらしい。それを知ったデデデ大王は、プププランドが滅亡する前に急いで公園を作り、カービィを喜ばせる。公園を作ったデデデ大王はブランコに乗り、「命短しぃ~恋せよデデデ~♪」と寂し気に歌うのだった。※プププランドは滅亡しない

デデデ大王がブランコをこぎながら歌を歌うシーンが、黒澤明監督「生きる」のパロディだった。嫁は元ネタの「生きる」を見たいという事で借りようと言い出したのだった。

黒澤明監督の映画は『夢』しか見たことがない。ガチの映画好きには「何でそれなんだよ!」と突っ込まれるだろうが、マジであれしか知らない。そんな俺と映画をあまり見ないポンコツ2人が2時間半長いなぁと言いながら見た「生きる」は…

( ゚Д゚)

すげぇ

今まで見てきたどんな映画よりも良かった。これが映画か…これが黒澤明か…すげぇ。語彙力がないのが本当に悔しいが、凄かった。物語は全然普通のストーリーなんだけど、物凄く引き込まれる。1秒も1コマも無駄がなく、全部見ていたい。緊張感、緊迫感、静寂、この差し迫る雰囲気にのまれる。

間が凄かった。時間が止まったような間、他の映画監督なら飛ばしてしまうような視聴者を待たせる間が印象的だった。一瞬たりとも逃せない主人公・渡邊勘治(志村喬)。その表情、言葉、仕草、動作…その全てが超一流の俳優。今時の顔ツルツルのイケメン俳優のクソ演技じゃない。これが本物の俳優か…本当に命かけてる俳優だ。息をのむような、瞬きを忘れてしまうような素晴らしい演技だった。映画後半、そっと座り、自分がやった仕事を見つめる表情が今でも目に焼き付いている。あの表情にこの映画の全てが詰まっている。あの瞬間は、映画の歴史に残る表情だった。白黒なのに色が見える。映画の枠を超えている。凄まじい…。

ここまで完璧な映画は過去に類を見ない。ケチのつけようがない完璧な100点満点の作品だ。演出もストーリーも良い。主人公が亡くなった後、残った同僚達が思い出す主人公の姿に感動した。決してハッピーエンドとは言えないが、なぜか「これで良かった」と感じてしまう。まだ見足りないかもしれない。もう1度見てみよう。今年の10月に「生きる」を舞台でやるようだ。きっと酷い出来になるだろう。黒澤明、志村喬じゃなきゃ無理だ。この感動は、他の人間には到底作れない。

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