水木しげる先生の作品と言えば「ゲゲゲの鬼太郎」が代表作。正義のヒーロー鬼太郎が悪い妖怪を次々やっつけていく痛快妖怪アクション漫画である。ゲゲゲの鬼太郎に次ぐ有名作品と言えば「悪魔くん」「河童の三平」だ。今回紹介する「河童の三平」はゲゲゲの鬼太郎や悪魔くんに比べると平和的な物語になっている。後半は少年ジャンプさながらのバトルものになるが、俺が好きなのは割と前半。血みどろの戦いではなく、いたずら好きのタヌキや主人公にそっくりの河童、ずる賢い死神と面白おかしく喧嘩する。平凡な日常の些細なやり取りが笑える。
三平に大根を投げるタヌキ
(河童の三平 (ちくま文庫 み 4-9) 水木しげる)
特にオススメはタヌキ。このタヌキが超カワ(・∀・)イイ!!
最初は嫌がらせをしてくる嫌な狸で、事あるごとに三平をからかってくる。死んだおじいさんの声を真似て三平をぶん殴るなど頭もキレる。段々と仲良くなるにつれて、一緒に死神を追い払ったり、留守番をしたり、気が付けば仲間になっている。幽遊白書の1巻のタヌキ並みに可愛い。
お爺さんが亡くなった後の家で一人で暮らす三平
(河童の三平 (ちくま文庫 み 4-9) 水木しげる)
お爺さんが亡くなった後の家。小学生の頃に読んでいて「いつかこんな家に住みたい」と思った。上の絵は、お爺さんが亡くなってすぐの寂しいコマなんだけど、この家の魅力をすごく感じさせる絵のように思える。三平の年齢は6~7歳の設定らしい。俺も三平くらいの年齢の時に見た祖父の家は、これくらい広く感じた。
大学生になると「この部屋ってこんなに小さかったんだ」と驚いた。震災の時に家が流れてしまい、もう比べることが出来ないので残念。お爺さんが亡くなる前に、死神がやって来て「そろそろ迎えが来るから準備しなされ」と言い、お爺さんが(そろそろお迎えが来ることだと思っていた)というシーンは印象的だった。お爺さんは、死神の宣告を受けた後、三平に家の話や父親の話を伝え、そのあと亡くなる。
水木しげる先生の漫画は、ほとんどの登場人物がのんびりしている。少ない台詞やのんびり屋の登場人物達の中で、生や死が簡単に描かれているが、実際人間の死なんて呆気なくて単純なものなのかもしれないと思った。先生の言葉に「怠け者になりなさい」という名言がある。俺は、三平の暮らすような家に住んで怠け者になっている。